ところで、山陰の国立大学や、神戸の私立大学や、国立市の国立大学とかでも学生食堂を利用したことがありますが。わが校の食堂が一番安くて美味しいです。
ところで、今朝の食事は、焙煎ゴマのごぼうサラダ・もやしの味噌汁・オクラ黒酢の冷やし豆腐・ごはん(とおまけのきゅうりのお漬物)でした。
計220円でした。
このご飯とお漬物は盛り放題で一律80円、お味噌汁も具を入れ放題で一律20円です。
自炊するよりも、はっきりと安いんでついつい利用しています。(たまに、コーヒーサービスがあったり、豚汁ただでつけてくれたりしますしねw)
竹井10日(takei touka)氏さんによる、らき☆すたのライトノベルです。原作は美水かがみ氏です。
平成19年9月に初版がでており、極々最近の作品です。
内容としては、らき☆すたのおなじみの面々がとある『殺人事件』の謎を解明していくという。推理物…というか、サスペンスです。
らき☆すたのどうでもいいようなくだらない話でまったりしたい、という人には不向きな作品かもしれません。シュークリームだと思って食べてみたら、クリームが入ってなかったくらいの衝撃があります。
もちろん、そこはらき☆すた、ちゃんと最後にはいつもの空気で収めています。
ところで、この本、キャラクター紹介が付いておりまして、成美ゆいさんの得意課目が「道徳」となっております、警察官ですし、公務員ですし、妹思いでしばしば泉家にも顔をだしておりますが…いかがなものでしょうかねぇ。
若干、腑に落ちないものがありますw
世間では、つまらないという声もあったアニメ版のらき☆すたですが、こういった作風の作品ですし、面白くない人には本当につまらない作品だったことが想像できます。まぁ、私は結構クスクスわらっていたのですがね。
お料理教室(誠×世界?)
誠は普段から自分で料理をすることがよくある、というのは彼が母子家庭で育っており必然的に家事をこなすようになったからである。だから、彼が一般的な、あまり料理になれていない女子よりも料理の腕に勝っているのは当然のことであり、彼の作るお弁当に見劣るようなお弁当しか西園寺世界が作れないのは無理からぬことであった。
「こんにちは、誠くん。」
「こんにちは、誠。」
西園寺世界と桂言葉の2人が休日の伊藤誠の家を訪ねたのは、料理の特訓を受けるためであった。普通ならば、各々の母親に習ったり、女子同士教えあったりすれば良いような話なのだが、それはそれ、恋する乙女である2人は愛する誠とできるだけ一緒にいたいと指導を願ったのだった。
「もう、寒くなったよな。今にも雪が降り出しそうな空だし、夜には完全に降ってそうだよ。」
「そうですねぇ、誠くん。 それで、今日は何を作るんですか?」
「今日は、いきなり難しい煮物だとかを作っても、失敗しそうだし。かといって、ハンバーグとかは応用が利かなそうだなと思ってね、色々考えて、揚げ物にしてみようかなと。」
「ちょっと、ちょっと、誠! 揚げ物って、初心者に油は危なくないの?」
急に、世界が慌てだした。なんだか可愛いな。おっと、危ない危ない、世界に見とれていると言葉が怒るんだもんな。
「私も、油ってなんだか怖いです。火傷とか大丈夫なんですか?」
「大丈夫だよ、油を使うのだなんて気をつければ平気だよ。 学校の化学実験の方がよっぽど危ないよ。」
誠は、2人をキッチンに案内すると、そこにはジャガイモ、タマネギ、ひき肉、パン粉、卵、キャベツ、小麦粉そして各種調味料や調理器具が準備されていた。
「コロッケ…?」
「さすが、世界。察しが良いな。」
「っていうか、普通分かるし。この材料で他に何を作るって言うのよ?」
「…ポトフ、でしょうか?」
「いやいや、桂さん。ちょっと、無理があるから。」
なんか、いい雰囲気だな2人とも。何も無かったら、仲がいい2人なんだけれどもなぁ。
「それじゃぁ、まずはジャガイモを湯がくんだけれども、包丁でくるっと皮に薄く一周切れ目をいれてみて、そうしたら、湯がき終わったあとにきれいに剥けるから。」
「あっ、それこないだテレビでやってた裏技だね。見てた見てた。」
2人の包丁捌きは思ったほど悪くなく、言葉なんかは刃物が妙に手に馴染んでいた。
「言葉、上手だね。 刃物扱うの慣れてる?」
「えぇ、料理はあまりしないんですけども。昔、居合いを習っていたことがあったので…。刃物は手に馴染むんです。」
あぁ、居合いかなるほど。
ジャガイモをぐらぐらと沸騰している鍋に入れて、次の作業に移ることにした。
「たまねぎをみじん切りにするんだけれども、世界、切り方わかる?」
「そのくらい知ってるわよ。」
「よしっ、じゃぁ世界たまねぎをみじん切りにするのは頼むよ。」
そう言ってから、言葉を近くに手招きして、耳打ちをした。
「えっ!」
最初、ビックリした様子の言葉であったが、やや頬をむっくりと膨らませてうなずいてくれた。
「あとは、揚げるだけね。誠、キャベツはもちろん千切りよね?」
「うん。」
俺は、返事をして、言葉に目配せをする。
世界がキャベツを千切りしている、内に言葉は部屋を抜け出した。
「世界、もっと細く。」
後から、ささやいて、世界の手に俺の手を添えた。
「ちょっ、ちょっと、誠。桂さんが…。」
「言葉には、席を外してもらってるよ。」
「あっ、本当だ。どうして?」
ニンマリとした顔で、振り返った世界を迎えた。
「誕生日おめでとう、世界。」
瞬間、世界の顔にパァっと笑顔が広がった、まるで打ち上げ花火が瞬時に開くように、あっというまの出来事だった。
「覚えてて…くれ…たんだ。」
今にも、泣き出しそうな顔の世界。
「世界、包丁!包丁!包丁持ちながら泣くのは危ないっ!」
「ごめん、包丁持ったまま…振り上げちゃったね。嬉しくて…つい。」
そういって、包丁を置く世界。
包丁を置いたのを見届けてから、一回ぎゅっと抱きしめた。
「言葉も、これくらいなら許してくれるよ。」
「…ははは、誕生日だけの贅沢ですか。」
なんとなく、寂しい影が差したが、すぐにまた明るい顔を作っていった。
「まぁ、仕方ないよね。」
「…ごめん。世界の気持ち知りながら、答えてあげれなくて。俺は世界の彼氏なんだ。」
「うん、そうだね。でも、今ぐらいはいいよね。」
そういって、世界は俺の胸に頭をあづけてきた。
「誠くん、貰ってきましたよ。」
それから、20分くらい経って言葉が帰ってきた。
「桂さん、ごめんね。 私のために。」
「いえ、まぁ、誕生日ですし。 でも、誠くんは譲りませんからね。」
「ところで、外で何してたの?」
「これです。」
言葉は、白い箱を取り出した。
「あっ!!」
「そうです。ケーキですよ、誠くん、わざわざ特注で予約してたんですよ。 私なんか嫉妬して、途中で何回捨てちゃおうと思ったことか。」
「あぁ、言葉ごめん。 言葉の誕生日にはもっとすごいの用意するから。」
「本当ですか? もう。」
くすくすと聞こえてくるので振り返ってみたら、世界が必死に笑うのを堪えているようだった。
「とっても、楽しい誕生会だったよ、ありがとうね。桂さん。」
「全くずるいですよ。誕生日だなんて、ほんの20数分だけでも、私の誠くんを奪うだなんて。」
「ずっと2人でいるくせに、どうせクリスマスだって2人で過ごすんでしょ?」
「えぇ、ホテルで過ごそうかなって、夜景を見ながら。それから、2人でヨットでクルージングして…。」
「…かなわないな、桂さんには。」
「わかってくれればいいんです、誠くんは私の彼なんですから。」
「2人ともなんだか、仲よさそうに歩いてるな。よかった。」
2人をマンションから眺める誠の姿が窓際にあった。
「おはよぉ、誠! って、あれ顔赤いよ? 大丈夫? 風邪でもひいちゃったんじゃないの?」
窓の外を眺めれば、あんなに青かった空は灰色がかって、虫の声も聞こえなくなり、心なしか木々の葉っぱも緑色から段々と変わっているような気がする。話しかけてきたのは、西園寺世界、俺の隣の席に座っている同じ3組の女子だ。
「昨日の夜、急に冷えただろ? 今までが、夏みたいに暑かったから薄着して寝てて、朝起きたらもう、アウトって感じだよ。」
「ったく、誠は相変わらず間が抜けてるんだから。」
「そういうなよな、これでも気を付けようとはしてるんだからさぁ。」
「あらぁ、自覚あったんだ間が抜けてるところ。もしかして、桂さんに指摘されてるとか?」
桂さんというのは、世界に仲を取り持ってもらった隣の4組に在籍する女子で、正式な名前を桂言葉(ことのは)という。物静かで引っ込み思案なんだけれども、そこが守ってあげたいって気にさせるんだ。
「そんなことないよ。うぅ、なんかマジでヤバイかも、保健室行ってくるわ。」
「付いていったげようか? 保健室まで。」
「いや、いい。世界には世話になってるし、これ以上迷惑掛けれないからさ。」
「そっか、わかった。気をつけてね。」
保健室のベッドは大抵の学校でそうであるように、カーテンで仕切られている。カーテンで仕切られた空間からは、白いシーツ、白い手摺り、白い天上、白いカーテン、そして蛍光灯まで白い、どこまでも白一色の世界が広がっている、圧迫感を間感じさせた。でも、その白一面の世界はある種の心地よさも持ち合わせていた。だから、周りを気にすることなく思索にふけることができた。
(なんだか安心するな。邪魔な模様が何にもないのって…。言葉…か、こないだのデートは確実に失敗しちゃったよな…何がいけなかったんだか。)
(世界は、隠そうとしているみたいだけれども…いくら俺が間抜けでも気づいてるよ。)
(言葉に世界かぁ、めんどくさいな。でも、ケリは付けないとな。)
(世界…未練タラタラみたいだし。特訓って、普通はできないよな。)
(あぁ、頭痛くなってきた…しんどい。)
「あっ、誠くん起きたんですね?」
「せ、かい?」
「酷いですよ、誠くん。西園寺さんと間違うだなんて、私ですよ。」
「言葉か、ごめん。世界のこと夢で見てたから。」
「西園寺さんのですか? ちょっと、妬けちゃいますね。どんな夢ですか?」
俺は夢で見たことを、言葉にポツリ、ポツリと話した。
俺がとんでもない浮気者で、言葉や世界、光や乙女にまで手を出していたら、総スカンを食らって、最後に世界に包丁で刺されるという夢を。
「多分、それは予知夢ですよ、誠くん。」
「予知夢?」
「はい、未来で起こることを夢で見てしまうんです。」
それは、それは背筋も凍るような未来もあったものだ、というか、さっきから言葉の目が笑っていないような気がする。
「あっ、りんご、購買部で買ったんです。剥きますね。」
「ありがとう、言葉。ところで、そのナイフどうしたんだ?」
「これですか? 保険の先生に借りたんです。先生、ポットとかまな板とか保健室に常備してるんですよ。おかしいですよね。」
「へぇ、そうなんだ。それじゃぁ、カップ麺作るときは、保健室にお湯を貰いにこないとな、冬なんか暖かくて良さそうだ。」
「そうですね、寒いときなんか良さそうですね。実は私、食べたこと無いんです。カップ麺って。」
「へぇ、そうなんだ。珍しいね。でも、なんだか言葉らしいかも。」
「私らしいですか? もうっ。 あっ、りんご剥けましたよ、どうぞ。」
「ありが…。」
ガサッ!
「誠! 起きてる? お見舞いにプリン買ってきたわよ、食べなさい。 はい、あ~ん。」
カーテンを開けて口の中にプリンをスプーンで放り込まれる行為と、今の台詞はほぼ同時並行に行なわれ、かつ、その時間は非常に短いものであった。
「どう? 美味しい?」
「うぅ、ぐふぅ。んん。」
「んっ? 何?」
「うしろ! うしろ!」
「うしろが何よ? って、えぇ!! 桂さん…いたんだ。」
非常に、重苦しい空気が流れていた。
あぁ、風邪は家にたどり着く頃には肺炎に変わっているかもしれないな。
「西園寺さん、誠くんは風邪なんです。もうちょっと、静かにしてくれませんか?」
「あっ、ごめんなさい。誠ごめんね、騒がしくして。」
「いや、平気だからいいよ。」
あぁ、空気が本当に死んでるよ、いつもは元気な世界が完全に萎縮しちゃってる。
「西園寺さん、誠くんと仲良いんですね。妬けちゃいます。さっきも、誠くんが西園寺さんの夢見たって言うし、何か私に隠れてコソコソと2人でしているんじゃないんですか?」
ギクッ!!
何も言わないでくれ、何も言わないでくれ!
世界頼む、何も言わないでくれ!
「ごめんなさい、桂さん!!」
終わった…、世界のやつ、何もかも洗いざらい言っちまう気だ。
「実は、誠と特訓してたの…。」
「特訓って…何の特訓ですか?」
「その…キスとか…。」
グサッ…。
言葉は手に持っていたナイフをベットに突き刺した。
「こ、ことのは。落ち着いて、落ち着いて。」
「私は、とっても冷静ですよ。誠くん。 ただ、冷静じゃなくなるといやだから、こうやってナイフを手放したんですよ。」
サーッと、何かが足音を立てて逃げていく音が聞こえた。
アニメでしか聞いたことが無いような音が本当に聞こえた。
あぁ、世界も冷や汗を流してるよ。
「か、桂さん、本当にごめんなさい、私、誠のことが本当は好きで、それで、それで私、誠の彼女になりたくて、特訓って理由つくって、誠の側にいたかったの。」
世界は、とても真剣な目で言葉を見ていた。
「それじゃぁ、私たちライバルですね。」
意外にも言葉は笑顔で世界を見ていた。
「でも、誠くんは私の彼氏なんだから、そういうやり方は感心しません。今度、一緒にプールに行きませんか? 隠れてコソコソは駄目ですからな。」
「えっ? 許してくれるの?」
「許すわけ無いじゃないですか? 泥棒猫って思ってますもん。でも、近づかないでって、西園寺さんに言っても、諦めそうに無いから、私もそれぐらい分かります。だから、正々堂々と勝負しましょうね。」
世界は、ビックリしたようなそんな顔だった。
「そうだ、誠くん。ここで、西園寺さんの携帯の番号を着信拒否に登録してください。」
「「えっ!!」」
「彼女の特権です。誠くん、聞いてくれますよね?」
言葉は、ベッドに突き刺したままのナイフの柄を握って、笑顔で言った。
「…はい。」
「それと、誠くん。さっきの、予知夢ですけど、本当にしないために、浮気癖なんてつけたら駄目ですからね。」
世界の強烈なアプローチを目の当たりにして、言葉は何か吹っ切れたらしい、積極的になった言葉は色々なことをしてくれたし、俺も満足だった。
たまに、三角関係で悩むこともあったけど、そんなときは言葉の「私が誠くんの彼女ですから。」で、世界は泣く泣く引っ込んでいた。また、俺自身も、世界に対しては誠実に対応して、精一杯謝って、諦めてもらった。
今振り返ると、あの日、保健室で見た、あまりにもリアルな予知夢の力が大きかった気がする。もう、予知でもないのだが。
「お父さん、父兄徒競走で大転倒して、保健室に担ぎ困れるなんて恥ずかしすぎ!」
この白い空間は物思いに耽るのにちょうどいい。
-あとがき-
SchoolDaysのSSを書くときに、救いのある内容が欲しくて、書いているんですが。前回のSS『和菓子か洋菓子か…』では、完全な後日談でしたが、今回は、2人の関係がまだ始まったばかりの頃で話しを作ってみました。
始まりの最初でなら、3人の関係が縺れて悲劇にならずに済んだんじゃないかなという発想です。それでも、この駄目でバカな主人公は、性格を無理やり矯正して、かつ超自然的な力(予知夢)を用いなければ、まともにならないという困った奴です。
私の書くSSでは、真面目な誠くんシリーズになりそうですね。
・和菓子か洋菓子か…(誠×言葉)
前から気づいてはいたんですけども、誠くんってかなり優柔不断なんですよね、毎日料理の献立を作る身としては困ります。
「誠くん、晩御飯に何か食べたいものありますか?」
「そうだなぁ、焼き魚か…いやいや、ハンバーグもいいなぁ…筑前煮なんてのも…。」
学生の頃から気が付いていたことではあったんですけども、こうしていざ一緒に暮らしていると余計にわかってしまうものですね。
何だかため息が出ちゃいます。
ふぅ。
「なぁ、言葉? 今度の日曜日なんだけどな、久しぶりに海にいかないか? もう、秋だから泳げないんだけど、その分潮風がちょうどいい頃合になってると思うんだ。」
とても、意外な問いかけでした。普段、自分から何かを投げかかることの少ない誠さんからのデートのお誘いです。そう考えてみたら、私って結構不幸だったのかも…。いっつも、私からの投げ掛けばかりで、軽く流されたことだなんて何回あったか忘れてしまいました。まぁ、今の幸せがあるから許せるんですけどもね。
「海…ですか? どうしてまた突然に?」
「それがさ、来月から護岸工事始まって、昔みたいに綺麗な景色じゃなくなっちゃうかもしれないんだ。色々あった海だからさ…じっくり、目に焼き付けておきたくて…。イヤかな?」
なるほど、そういうことでしたか納得です。市の広報にそういう風なことが書いてあった気がしますし。誠さんらしいといえば、らしい考えです。そうなると、最近はめっきり風も冷たくなったことですから、温かい格好をしていかないといけませんね。それから、温かいお茶とお菓子も持っていきましょう。
なんだか心が躍っています。
数年振りに、目の当たりにしたその海は昔と変わることなく、悠然と存在していた。波が遠くからやってきて、あるところで波頭が砕けて、そして砂を巻き上げながら押しては引き、そして、波どうしがぶつかって。ハトかカモメか、何かの鳥が歩いたであろう足跡は途中で切れている、きっと飛び立ったのだろう。決して情緒的ではないが、割り箸やペットボトルがポツンポツンと散らかっているのも、確かにそこに人間がいたという証で、夏の喧騒を思い起こさせる。
海というのは、こんなにも人を詩人にさせるものなのかと、言葉は思った。
「ねぇ、誠くんは何を考えていましたか? 私は、海ってすごいなぁって思ってました。いつまでも、いつまでの休むことなく波が押したり引いたりして、広くて…とっても広くて…。」
「言葉…。」
「私が今までしてきたことって何だったんだろうって…、そう、思っちゃうんです。もっと、冷静に周りが見れていたらって…。」
「そんなことない、言葉は何も悪くない!」
これが、今の誠くんです。とっても、力強くてやさしくて、嬉しい。
私がしばらく誠くんの腕の中で泣きはらして、顔を上げてふりかえると…。
「西園寺さん…。」
私は、立ち上がると西園寺さんのところまで無言で歩いていった、あの位置にいたのなら誠くんからは、私を抱いていながら見えていたはずです。一体、何を思ったのでしょうか、誠くんは西園寺さんを見て…。
「お久しぶりです、西園寺さん。」
「あのっ…あのっ…私。」
「大丈夫ですよ、もう…もう、怒っていませんから。いっしょにお茶しませんか? きっと、誠くんもいいって言ってくれますよ。」
「いいの?」
「えぇ、大丈夫です。」
「…ぁりがとう。」
西園寺さんは俯きぎみに、そう言いました。
きっと、西園寺さんも辛かったのでしょう。今なら、彼女の気持ちもわかります。私も、結構酷い女の子だったということが。
「誠くん、西園寺さんもお茶に誘っていいですよね?」
「いいのか? 言葉?」
「えぇ、もう何とも思っていませんし…西園寺さんは、親友ですから。」
うぅ、うぅ…えぐっぅ…うぅ。
西園寺さん…泣き出してしまいました。
そっと、そっと、抱きしめてあげます。寂しかったんですよね。西園寺さん。
20分はそうしていました。
やっと落ち付いた西園寺さんと3人で並んでお茶です。真ん中は私です、仲直りしたって、誠くんの横は渡さないんですからという私の意思表示です。
「栗餡のお大福ですよ。試食させてもらったら美味しかったんです。」
ポットからお湯を注いでお茶を淹れます。一式運ぶのはちょっと、重かったけども、美味しいお茶のためです、仕方ありません。
ふふっ、なんだか、昔みたいですね。
「あのっ、桂さん、これ。」
そういって、西園寺さんが出したのはナッツの焼き菓子でした。
「光のお店の新作でね、さっき、買ってきたところなの。良ければ食べて。」
香ばしい焼き菓子ですから、日本茶との相性もいいでしょう。
期せずして、お茶菓子は和洋の2種類が並ぶことになりました。
そして、
西園寺さんの期待する目、これは私の用意したお大福よりも先に食べてみて欲しいという、女の目です。私には分かります。
たかだか、どちらのお菓子を先に食べるかというだけの争いです。
でも、わかってしまったのです。
恋人の座は諦めても、女として負けない、、決して魅力では私には負けていないんだという宣戦布告に。
あれっ、誠くんがなかなかお菓子に手を伸ばそうとしません。どうしたのでしょうか?
「どうかしましたか、誠くん? ナッツはお嫌いでしたっけ?」
「ナッツ嫌いじゃないよね、誠? 大福が重たそうだからためらってるんだよね?」
「何を言っているんですか?西園寺さん、誠くんがそんなわけ無いじゃないですか、毎晩激しいから甘いものは大好きなんですのよ。」
「桂さんこそ何言ってるのよ! っていうか、私の前で普通それ言う!」
「ふふ、泥棒猫さんは、何年経っても泥棒猫さんのままなんですか? 浅ましいですわね、許したの間違いでしたでしょうか?」
「くぅ~、西園寺さんそんなキャラだった! 嫌味に磨きがかかってるわよ!」
なんだか、言い合いしながら、とっても楽しいんです。
こんな風に、昔みたいな無表情じゃなくて、表情を付けながら、西園寺さんと言い合いができて。西園寺さんも笑いながら言っています、少し怒っているようですが。
さて、誠くんは最初にどちらを食べるのでしょう?
2人して、じっと、睨みます。
誠くんが手を伸ばしたのは…。
手を伸ばしたのは…。
お茶でした。
「「逃げた。」」
やっぱり、誠くんは優柔不断です。
西園寺さんも同じことを思ったようで、気が抜けてしまっています。
あぁ、私たちって不幸。
どうして、こんな男に惚れてしまったのでしょうか。
私には優しいからいいんですけでも、でも、やっぱり優柔不断です。
それからは、お互い脱力感もあって、どちらのお菓子を先に食べたかだなんて気になりませんでした。
「それじゃぁな、世界。元気でな!」
「うん、誠もね。桂さん大事にするんだぞ!」
「それでは、西園寺さん。」
なんだか、楽しい日曜日でした。
「ねぇ、誠くん、晩ご飯のお買い物していきますけど、何がいいですか?」
「う~ん、そうだなぁ。」
-あとがき-
作者のtowaです。
今回、このようなSSを書いたきっかけは、ドロドロや寂寥感の漂わない、後日談を書いてみたかったという思いでした。そもそも、SSのあまりないSchoolDaysなんですけれども、幸せな話のSSってネットで探してもあまり無いんですね。
というわけでないんなら、自分で書いてやれという話です。
設定としては、「そして、言葉へ」の後日談す。
こんな感じの3人を見てみたい気がします。